2019年1月14日ここまでは「パウエル議長効果」でリバウンド。さてこれが続くのか?

鈴木一之です。新年のビジネス界が本格的に活動を再開し、お正月休みボケが完全に払しょくされるにつれて、セミナー向けの資料作りも忙しくなってきました。

するとさっそくHP更新がおろそかになってしまいます。たいへん失礼いたしました。。
先週の株式市場は順調に戻り歩調をたどりました。引き続きパウエル議長およびFRBの金融政策を巡る方針転換をそのまま好感している模様です。

昨年暮れ、米国では長短金利差の縮小、いわゆるイールドスプレッドの逆転現象が心配されました。イールドカーブのフラット化、別の言い方をすればイールドスプレッドの縮小は、いずれ起こる景気後退の前触れである、というものです。

確かにそれも重要な問題に違いありませんが、より重要なのは同じ2つの金利水準のスプレッドでも、低格付け債と高格付け債の金利差、ハイイールド債の金利上昇が続いていることの方ではないかと考えることもできます。

実際に現在の米国市場では、ハイイールド債に代表される低格付け債の金利上昇が続いています。単純に述べれば、マネーのリスク回避の動きが一段と強まっています。

これはリーマン・ショックの前の2007年も、それからチャイナ・ショックの前の2014年にも見られました。世界の資金は何かしらの信用リスクを恐れている様子がこの点に刻み込まれています。

現在警戒されているのは、格付けの低い債券のデフォルトリスクのようです。低金利が長く続いたためにジャンク債ギリギリのBBB格で発行された社債が空前の規模にのぼっており、それらに対するリスクが昨年10月初旬から突如として認識されるようになりました。

昨年10月はペンス副大統領によるハドソン研究所での演説がクローズアップされた時期でもあります。この演説をきっかけに米国と中国は新たな冷戦時代に入った、新冷戦時代への宣戦布告である、と見なされているようです。ここから米中貿易戦争に関するマーケットの認識はまったく新たな段階に入りました。

それとほぼ同じ時期に、米国の社債市場ではジャンク債の金利上昇も始まっています。昨年12月27日の日本経済新聞の記事によれば、BB格より低いハイイールド債の発行額が2017年に過去最高を記録しており、同じように投資適格とされているBBB格債も米国での社債発行額の4割まで膨らんだそうです。

それが起債環境の悪化により、昨年12月には米国でのハイイールド債の発行がほとんどゼロになった模様です。そこに原油安も加わって、エネルギー関連企業を中心にデフォルトが起こり始めている様子が伝えられています。

ここからさらに政策金利の引き上げが続くようだと、デフォルトが多発する事態の引き金になりかねない状況でした。FRBが年明け早々に金融政策の方針を従来のタカ派からハト派的な方向に転換したことが、ここまで好感されている理由もうなづけます。

今後は景気の動向に目が向けられてゆくことになりそうです。

その点でトランプ政権が行っている政府機関の閉鎖の行方が当面のカギを握りそうです。現時点ではクリントン政権下の「21日間」を抜いて、過去最長の22日間に及んでいます。
政府機関の閉鎖が長期化することの影響は、政治面ではもちろんのこと、経済面への影響が免れません。

財務省、商務省の予算が失効したままで、80万人の政府職員の給料が未払いのままです。連邦住宅管理局による住宅ローン審査が滞って、住宅購入希望者のローン契約が結べなくなっています。

空港の発着ゲートが一部閉鎖されており、航空ダイヤの乱れが観光と物流に支障をきたしています。財務省と歳入庁の仕事がストップすると、年明けからの消費者への税還付に遅れが生じる懸念が浮上しています。これは個人消費に直結しかねません。

企業買収の審査が停滞し、SECによるIPO審査と承認も遅れます。ハリケーンの襲来や大雪によって雇用統計のデータがすぐに影響を受ける国ですから、政府機関閉鎖の影響も無視できないものになってくる可能性があります。2週間の閉鎖はGDPを0.1ポイント押し下げるという試算もあるようで、米国債の格付けにも影響しかねません。

日本株に関して言えば、先週金曜日までの戻り相場は景気敏感株がリードしました。化学のクラレ、三菱ケミカルHD、三井化学、機械および半導体でも戻り歩調が続いています。

トヨタ、ホンダ、いすゞの自動車株はあっという間に昨年暮れの急落分を取り戻しました。三菱商事、三井物産の総合商社も同様の展開です。英国の原発事業から撤退を決めた日立、決算悪化のファーストリテイリング、ファーウェイの穴を埋めるNEC、これらも戻り歩調を支える主役級となっています。

ただ戻りきれない銘柄も数多く見られます。その代表格が花王、資生堂、コーセー、ファンケルの化粧品株です。インバウンド消費の伸び悩みが各方面で指摘されるようになってきました。イオン、ドンキホーテの下落も気になりました。

日銀の政策スタンスは変わりようがない状況のようですが、米国および世界の投資環境も金融政策だのみの部分がかなり色濃くなっています。極めつけの困難な状況をパウエル議長で大丈夫なのか、マーケットはまだしばらく疑心暗鬼の様相を続けることになるのではないかと考えざるを得ません。

以上

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