2019年1月9日コラム:米政府閉鎖巡る対立、より怖い「本丸」の問題に波及も

米連邦政府機関の一部閉鎖は、財政運営を巡るより大きな政治的なぶつかり合いが待ち受けていることを示す不吉な兆しと言える。

政府機関閉鎖は、トランプ大統領がメキシコとの国境に壁を建設する予算を議会に要求したことがきっかけだが、経済的な影響は恐らく非常に小さい。真の危険は、トランプ氏と議会の対立が連邦債務上限を巡る議論に波及した場合にやってくる。

18日間にわたって政府機関閉鎖が続き、事態は極めて不穏になっている。トランプ氏と議会民主党指導者らは、ホワイトハウスにおける会合で公然と言い争いを始めた。さらにトランプ氏は、何カ月でも何年でも政府機関を閉鎖するのを辞さない構えで、8日夜に国民に向かって自らの正当性を訴える意向だ。

政府の経常的経費のうち議会が承認していない25%にかかわる業務が停止し、およそ80万人の職員は自宅待機か、無給での勤務を強いられている。もちろん政府機関が再開されれば給料は支払われるだろうが、職員が痛みを受けるのは確かだ。

全政府機関が16日間閉鎖された2013年の経済的な損失は240億ドルだった。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)によると、同年第4・四半期の国内総生産(GDP)成長率を年率で少なくとも0.6%引き下げたという。

しかしもしも与野党が対立する足元の構図が、債務上限の審議にまで持ち越されてしまうと、経済への悪影響はずっと大きくなりかねない。債務上限は近年、政争の具となっている側面が非常に強いのが特徴。通常は政府が既に借り入れたのとほぼ同額に設定されるので、3月初めに到来する今度の上限は、約22兆ドルとなる見通しだ。そこで議会は上限を引き上げるか、上限の執行を停止しなければならないが、今の政治情勢で与野党がそんなに協力的になるのは難しいのではないか。

米政府が期日通りに支払いを行うかどうかについての不透明感は、過去においてさまざまなマイナスの要素をもたらしてきた。2011年には、債務上限に関する政治対立によって、S&Pが米国債の格付けを「AAA」から「AAマイナス」に引き下げ、史上初の米国債の格下げとなった。

米財務省は現在、債務上限が引き上げられないとデフォルト(債務不履行)を引き起こすと警告しており、こうした前代未聞の出来事が現実化すれば、新たな金融危機を誘発するのはほぼ間違いない。オバマ前政権の当局者らも同じ見解を有していたが、当時よりも米国の財政状況は悪化している。

今後は、米政府がカナダ、メキシコと結んだ新たな自由貿易協定を議会が承認するかどうかなどの問題が、債務上限に対する政治的駆け引きの材料に使われてもおかしくない。そうなると、今の政府機関閉鎖と比べものにならないほど恐ろしい打撃を経済に与えるだろう。
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出所:ロイターニュース

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(ランダムウォーク「N」)

 
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