2019年1月2日製造業の優位さを取り戻せるのか、ニッポン

鈴木一之です。年が改まり穏やかな新年2日を迎えています。百貨店など小売各社の初売りは相当の手ごたえが感じられそうです。

関東地方がどれほどの好天に恵まれているか、日テレの「箱根駅伝」の中継画面からもすぐにわかります。

年末年始のニュース報道を見ていても、今年はさほど過激な事件や出来事がないまま新年を迎えられたことに安堵します。今夜からNY市場の取引がスタートします。大きな波乱のない新年となればよいのですが。

新聞各社が力を入れる新春特集では、今や世の中の注目点、テーマがかなり収束していることに気がつきます。ポイントをいくつか挙げれば、

(1)人類はいまや歴史的なテクノロジーの変革点に立たされている
(2)日本の経済界、産業界はその革新的な変化に急いで対処しなければならない
(3)だがあいかわらず日本の政治・経済の対応速度は遅い、構造改革も進んでいない

というものになるでしょうか。

政治家も経済界も、学会もマスコミも、誰もが問題の所在がわかっています。しかし改革は一向に前に進みません。

一方でテクノロジーの進化は目もくらむようなスピードで進んでいます。

かつての技術革新は50~100年単位でやってきました。まず18世紀後半の第1次産業革命(蒸気機関の発明)、次いで19世紀の第2次産業革命(石油、電気エネルギー革命)、そして20世紀中ごろからの第3次産業革命(コンピューターの導入)です。

その後に続く第4次産業革命(生命科学)が今年、急速に勃興していることを世に知らしめました。スマホが手のひらサイズのスーパーコンピューターに変身したことにより、たとえば遺伝子工学の基礎となるヒトゲノムの解析コストは、2003年の9500万ドルから2017年にわずか1100ドルまで値下がりしたそうです。

これほど劇的なコストダウンの大半が、コンピューターの演算処理コストの引き下げによってもたらされています。

その結果、知的レベルの価値が猛烈な勢いで値下がりしています。この革命的な変化が次の産業構造の変化をもたらすと予想され、ひいては人口知能が人間の知性を凌駕する「シンギュラリティ」の到来する年限の予測を早めています。

今年の日本経済新聞の正月特集「頭脳資本主義」の意味がここにあります。すなわち、AIなどIT系技術の変化が従来の資本主義の常識を変える、頭脳のレベルがGDPを左右する、ことになります。

ここでも躍進著しいのが中国です。大みそかの日本経済新聞には「先端技術の研究テーマ別ランキング」が掲載されました。そこでは最先端のテクノロジー分野で世界トップに君臨する米国を凌駕する中国の姿がはっきりと浮かび上がっています。

記事の中では、中国が国家レベルで研究開発投資を増やしていることが伝えられています。2016年の中国の研究開発投資は45兆円に達し、米国の51兆円に次いで世界第2位に急増しています。

権威ある学術誌に投稿される論文の数(2017年)も、米国の56万件に対して中国は51万件に肉薄しています(文部科学省調べ)。

それに対して日本は、研究費の総額が18兆円で米国、中国とは大きく差をつけられました。政府負担の割合も17%にとどまり、20%を超える米国・中国とは水を開けられています。

各国とも最先端の研究分野は、電池、医療・バイオ、新素材、エネルギーに集中しており、それらどの分野でも中国の存在感が増しています。技術は蓄積がものを言います。突然なにか新しいことが生れてくるものではありません。

世界との競争は激化する一方です。「製造業の優位さ」で日本はここまで成長を遂げてきましたが、これから先もその流れが続く保証はどこにもありません。

そのあたりはもはや誰もがしっかり認識しており、経団連の中西宏明会長、経済同友会の小林喜光代表幹事のビジョンの中に明確に盛り込まれています。遅ればせながら日本の経済界もこれまでの水面下の活動から、いよいよ表に浮上してゆくことになるのでしょう。

ごく短期的には内需型・小型成長株の優位さを探すとしても、国家としてより本質的には研究開発型のスタートアップ企業の出現を待ち焦がれます。

以上

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