2018年12月28日2018年の大納会、7年ぶりに株式市場は下落

鈴木一之です。年末のあわただしさが心地よく感じられます。鈴木一之です。年末のあわただしさが心地よく感じられます。

7年ぶりに年間で下落となった2018年も暮れようとしています。本日、大納会を迎えました。日経平均はかろうじて2万円の大台を維持して引けました。

10月以降のラスト3か月はきわめて厳しい株価の下落が続きました。売りで入ることのできる方はともかくとして、基本的に株式投資は買いで臨むのが普通なので、終盤は気の休まる時間帯がほとんどなかったように思います。本当におつかれさまでした。

今週は月曜日に日経平均が▲1000円強の下落となり、水曜日にはNY市場が過去最大の上昇幅を演じて東京市場も+750円の上昇を記録するなど、最後の最後まで目が離せない展開となりました。

大納会の前日と大納会当日は、どうも公的年金の買いで持ちこたえたような兆候も随所に見られます。日本は明日から6連休に入るため、年越しのポジションを保持したくない投資家からは、年間でかなり値上がりした小型株に対して最後の売りを出しているように感じられました。

たとえば夏ごろまで好調だったZOZO(3092)が本日だけで▲11%も下落し、減益決算に転じたHamee(3134)が▲9%、昨年の出世株・ペッパーフードサービス(3053)が▲7%、今年の出世株・ソースネクスト(4344)とブレインパッド(3655)が▲6%、という具合です。

同じように「人手不足」関連銘柄も今年は転機を迎えています。アウトソーシング(2427)、パーソルHD(2181)、エン・ジャパン(48489)が、いずれも大納会で▲5%強の値下がりとなったことが象徴的です。

その一方で、今週の激しい上げ下げによって、チャートの形状としていわゆる「アイランド・リバーサル」、島形の底入れパターンを示す銘柄もかなりの数にのぼっています。

すべての銘柄を見たわけではありませんが、目についたところをざっと拾い上げてみると、トヨタ自動車。豊田自動織機、富士フイルムHD,コニカミノルタ、三菱電機、NTTドコモ、オムロン、第一生命、資生堂、京セラ、パナソニック、日本電産、コマツ、信越化学、東ソー、デンカ、関東電化、日本ゼオン、アルバック、新日鉄住金、NTN,ジェイテクト、デンソー、住友電工、DOWA、大同特殊鋼、それに総合商社5社すべてがそうです。

これが公的年金の買いによるものかどうかはともかく、「アイランドリバーサル」のチャートパターンがどこまで確かなものなのか、6日間の休みが明けて新年の取引が始まればすぐに確かめることができるはずです。

株式市場では折に触れて「アノマリー」なるものが話題になります。理屈では説明できない特定の日、週、月に特定の値動きをする、株価に備わった独特の習性です。

正直に白状して、私はアノマリーの存在をあまり信じてはいません。ハロウィン効果も「5月に売り抜けろ」説もどこかしら「本当かなあ」と実は疑っています。
実際に今年(2018年)最初の取引で、日経平均は+742円も上昇して始まるという、歴史的な大発会となりました。そして大発会の翌日も、翌々日も上昇して、3日間の大幅高を演じて今年はスタートしました。

スタート3日間が高いと1年を通して株式市場は堅調な値動きが期待され、これは吉兆として正月からまことに縁起がよいとずいぶんもてはやされたものでした。しかし結果論で恐縮ですが、残念ながら実際にはそのようにうまくはいきませんでした。

ただしモノは考えようです。楽観きわまるスタートを切った2018年が今のように相当の悲観で終わるのですから、総悲観の中でスタートする2019年はその反対の結果になる可能性だって十分にあります。

今年の転機は2月初旬に発生した「VIXショック」です。それまでのボラティリティの小ささ、適温相場による値動きの封じ込めが元凶で、その状態に沿ったポジションが一方通行で積み上がり過ぎた反動が一気に噴出しました。

現在はその反対で、ボラティリティが高すぎます。これひとつをとってみても、悲観と楽観の逆転を導いてくる根拠のひとつになる可能性だってあるわけです。

無理に楽観論を振りまくつもりもありません。肝心な点はいつだって「いま何が起きているのか」を確認し続ける作業にあるのだと思います。昨年の暮れはビットコインが大暴騰を続け、その歴史的な高騰が崩落を迎えた最初の時期に当たっていました。

ビットコインの急落は株式市場にどこまで影響するのか、しないのか、という議論も一部ではなされましたが、1年前の時点ではビットコインの下落は株価には影響はない、というところに落ち着いていたように思います。

しかし1年が経過して、これも結果論ですが、その時のビットコインの急落は今年の株価の下落を先取りしていたことになると言うこともできます。信用創造の一種ですから、やはり両者はどこか地下水脈でつながっているのかもしれません。

先駆者のひとりであるGMOインターネット(9449)は▲300億円を越える特損を計上して、仮想通貨のマイニング事業から撤退します。これもひとつの時代の区切りとなるのでしょう。

いつだって株式市場は時代の変化を秘めています。今のように相場環境が厳しい状況に直面した時、私はしばしば「グーグルの創業年」を思い浮かべます。

グーグルは「1998年9月4日」に創業しました。この「1998年」という年はマーケットにとってきわめて特別な年です。忘れようとしても忘れられません。

それはアジア通貨危機の翌年で、日本では山一証券と拓銀と三洋証券が退場した直後、世情はささくれだっていました。ロシアではルーブルがデフォルトを起こし、それによって米国ではヘッジファンドのLTCMの経営が破綻し、当時のグリンスパン議長が日本的な「奉加帳方式」によって資金を募り、金融市場の崩壊を防ぐという世界経済にとって危機的な年でした。

その渦中で、のちの世に絶大な影響を及ぼすグーグルがカリフォルニアで誕生したのです。変化の芽は誰の目にもとまらない、小さなところから始まります。
創業直後のグーグルを目撃したところで、その後の影響力の大きさを想像できるはずがありません。それでもこの瞬間に現実社会はそれ以前とは違ったステージにのぼったのです。

相場が苦しい状況に陥った時に私は真っ先にこの事例を思い出します。くさることなく日々の観察の目を世の中に向けなければならないと、自分に言い聞かせるようにしています。そうでもしないと意気地なしで怠け者の私は、何も行動しなくなってしまうので。

おそらくこうしている間にも、世の中では新しい動きが始まっていることでしょう。若い経営者は虎視眈々と世界制覇を狙っています。資産価値が値下がりして安くなれば、新しい買い手が現れるものです。

来たる2019年も大きな時代の変化をたくさん目撃することになると確信しています。そのような変化をできる限り早くとらえて、株式市場における投資の機会に結びつけ、現在のピンチを招来のチャンスに変えるべく周囲の動向を観察してまいりたいと思います。

現に4月末から5月にかけての「10連休」を当て込んでか、エイチ・アイ・エス(9603)やオリエンタルランド(4661)、東宝(9602)、名古屋鉄道(9048)、JR東海(9022)、JR九州(9142)のようなレジャー関連株が堅調です。

メガバンクがネット金融に積極的になってきたせいか、中小企業の会計処理をつかさどるミロク情報サービス(9928)やTKC(9746)のような銘柄もしっかりしています。チェンジ(3962)、サイボウズ(4776)の働き方改革関連銘柄も同様です。

明日も明後日もまだ年内の日数は残っていますが、ひとまずご挨拶だけ申し上げます。今年1年、たいへんお世話になりました。来年もよろしくお願いいたします。

皆さまにとって来年が素晴らしい1年となりますように。どうぞよいお年をお迎えください。

以上

«
»