2018年10月26日「上げてきてから買え」という村上さんの教え

鈴木一之です。もう一発、NY株式市場が大きく下がったら完全に底割れ状態になるなとビクビクしながら米国市場のオープンを待っています。

ひとまず始まりは反発の方向でNY市場はスタートした模様です。

今週の株価下落に関して私は、世界が抱えているネガティブ要因が新たな段階に差しかかったことを察知したためと理解しています。それは次の諸点です。

(1)米中貿易戦争の実際の被害が企業業績に現われ始めたこと
(2)関税引き上げによって物価の上昇が現われ始めたこと
(3)インフレ抑制のため、FRBの金利引き上げは継続する見通しになったこと
(4)その結果、「不景気下の金利上昇」が現実のものになりつつあること

以上です。

さらにその上で、米国の金利上昇が招いた世界的な株価急落によって、それをきっかけにリスクパリティ運用がリスク資産を減らす方向に動いて、さらにそれがアルゴリズム取引を誘発して、短時間のうちに大量の注文が執行されて、と次々に最先端の運用手法が市場価格を崩している模様です。

そこには機械的な売買執行しかないので、「安くなったら買う、高くなったら売る」というモノの価値判断が働きません。そのためどうしても全面安、全面高になりやすい構造をはらんでいます。

今週は1週間で2度、東証1部の値下がり銘柄数が2000銘柄を超えました。全面安もここまで来ると以前とははっきりと一線が引かれます。確かに尋常ではありません。

だからと言って、これは明らかに売られ過ぎだと断定することも危険です。相場の大天井はいつもこのような形で形成されるからです。

今が大天井かそうでないかという結論はここでは出さないでおきますが、一般的に株価が大天井をつけると、そこではPER(株価収益率)は常に低い状態にあります。

それは「分母」の株価の方が常に先に変化するのであって、「分子」である企業の利益はあとから遅れて変化するためです。よって株価の天井圏では、割り算で示されるPERは常に割安状態を示しながら下落トレンドを形成してゆくのです。

したがって「株価が値下がりしたのでPERが低くなった」という状況は、危険と紙一重の状態であることが多いものです。本物の下落トレンドに入ると、企業の利益が減額されて、低く見えたPERはあとから急激に高くなります。

今週は半導体セクターと素材セクター(化学、鉄鋼、非鉄、海運)の下げが特に先行して下落しました。株価が景気動向を先取りして動いている場合、それは現代社会では半導体関連株の値崩れに真っ先に現われるものと推察されます。

半導体セクターが先行して下げる地合いは特に注意が必要です。そこに加えて今週は電子部品株も総崩れ、建設機械のコマツ、日立建機も崩れ、高止まりしていたエーザイ(4523)やペプチドリーム(4587)まで値を下げています。相場は下げの8合目に差しかかったと見ることができそうです。

落ちてくるナイフを素手でつかむことは避けるべきです。村上世彰氏はお父上から「上がってきてから買え」と教わったと自著に書いていますが、まさにその通りです。買いは株価が底入れして、上昇を開始してからが最も安全です。

間もなくハロウィンです。東京・渋谷のスクランブル交差点が無法地帯と化すことで、渋谷近隣の住民、勤め人が1年で最も憂鬱になるハロウィンです。

「株を買うならハロウィンから感謝祭まで」というウォール街の相場格言に従うとすれば、間もなくその季節がやってきます。奇しくも日本企業の決算発表のピークと重なります。

日々発表される決算数字をにらみながら、銘柄を選別して待つことに徹するのが得策かと考えます。

以上

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