2018年10月7日「9月の米国の失業率は3.7%、ベトナム戦争時以来の低水準」について

鈴木一之です。10月5日(金)に米国の9月の雇用統計が発表されました。今回はこの点について少しコメントしてみました。

雇用統計のポイントをまとめると以下のようになります。

・失業率は3.7%、前月比▲0.2ポイント
・非農業雇用者数は+13万4000人の増加

雇用者数の増加は市場予想の18万人、および前月の27万人にとどきませんでしたが、失業率のレベルは1969年12月の3.5%以来、実に48年9カ月ぶりの低水準だそうです。これによって長期金利の上昇が一段と加速して、米国はおろか、世界中の株式市場に動揺をもたらしています。

ここで気になったのは、今回の雇用統計を報じた10月6日(土)の日本経済新聞・朝刊の記事です。

米国の一人勝ちともされる今回の長期間に及ぶ景気拡大は、昨年暮れに成立したトランプ減税の賜物です。この超大型の減税措置によって、米国の経済成長率は4-6月期には4%台まで加速しました。

しかし日経新聞の記事によれば、雇用の情勢を地域別でみた場合、共和党の支持地盤で失業率の低下が顕著に進んでいるようです。

たとえば中西部のアイオワ州の失業率は2.5%、ノースダコタ州も2.6%と、いずれも全米平均の3.7%と比べて▲1ポイント以上も低い水準に達しています。アイオワもノースダコタも2016年の大統領選でトランプ大統領が制した州です。

同じように全米50州のうち、失業率が4%を下回っている州が30州あって、そのうちの20州はトランプ大統領が勝利を収めた共和党優勢の地盤となっています。

以下は土曜日の日経新聞の後段部分をそのまま抜き書きします。

「(前略)2017年に成立した大型減税は、トランプ氏が勝利した中西部に有利な仕組みとなった。州・地方税の控除の仕組みを変えたことで、減税効果は中西部が大きく、民主党地盤のニューヨーク州などは小さくなった。中西部は消費や投資の押し上げ効果によって失業率が一段と改善している。」

よく指摘されるように、トランプ大統領、もしくはトランプ大統領を背後で支える政権参謀、政権中枢は、トランプ氏の選挙地盤にばかり有利に働くよう政策運営を行っている模様です。上記のような減税政策しかり、あるいは通商政策しかり。

「アメリカ・ファースト」とは言いながら、実際には「自分の選挙地盤ファースト」、もしくは「自分のファミリーファースト」、「自分ファースト」に主眼を置いた政策運営とも映ります。

政権中枢が狙っているのは、2期目の大統領選挙ですね。そのための地盤固め、アメとムチの「アメ」の部分を徹底的に強化する方向で、中間選挙はもはや眼中にはなさそうです。(最も中間選挙で大敗北を喫して、弾劾手続きに持ち込まれるに至っては元も子もありません。)

そのような地盤の上に成り立っている米国経済の一人勝ち、株式市場の歴史的な高騰が長続きするかどうかと問われると、やはりすぐに疑問が沸いてきます。非常にもろい基盤に依って立っているマーケットのように見えてしまいます。

市場の環境変化に関しては、また稿を変えて続けて述べてみたいと思います。

以上

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