2018年7月15日【4週間を費やして株式市場は修復の方向に向かう】

鈴木一之です。西日本の集中豪雨の被害に遭遇された皆様に心よりお見舞い申し上げます。一刻も早く元の生活に戻られることを祈念しています。

この6月から7月第1週にかけて、全世界が米中貿易戦争の帰趨を固唾を飲んで見守ってきました。まったく先行きの展望が開けず、文字通り世界経済は右往左往したと言ってもよいでしょう。

それがようやくひとつの方向性を示すようになってきたようです。「貿易戦争」というと恐ろしい響きに聞こえますが、要はトランプ大統領ひとりの発言です。

トランプ大統領が何かアクションを起こす→それに対して世界が何か応える→さらにそれに対してトランプ大統領が何か述べる→また世界が反応する→そしてトランプ大統領がホコ先を収める、方向性を変える(あるいは変えない)。

中国に対する2000億ドルもの追加制裁品目を公表したところが、今回ひとまずの頂点となった模様です。3月末の安値を形成した時とほぼ同じようなパターンです。

先行きに何かもっと極端な現象、たとえば中国が非関税障壁を設けて貿易赤字の範囲外のところで制裁措置を発動するとか、考え始めたらきりがありませんが、マーケットの論理としてはひとまずの耐性を得たというところです。

3月末の底入れ、4月から5月下旬にかけての戻り歩調と同じようなパターンを歩む可能性が出てきました。

ひとつは米国・NASDAQの動向です。米国のテクノロジー企業に再び活気が戻ってきて、今回もNASDAQがいち早く高値を更新してきました。

もうひとつは世界と日本の景況感です。これは強弱感の対立があちこちで見られます。米国では雇用統計は良好で、失業保険申請件数が強めの数値で出てきます。

それによってフィラデルフィア連銀の景況感指数が5月以来、横ばいからほんのわずかですが上向きに転じてきました。ただ、先週末のミシガン大・消費者指数速報値は今年1月以来の低水準となり、市場予想も下回っています。

よい数値と悪い数値が混在しており、それが米国の長期金利の上昇を阻んでいます。したがって「よい結果は悪い方向に、悪い結果はよい方向に」。今年1月まで猛威を振るったゴルディロック的な環境に再び入りつつあります。

見方によっては「適温相場」がもう一度到来することになりかねません。

日本の景況感も同様です。日銀短観は悪く、景気動向指数と街角景気は良好でした。小売企業の第1四半期の決算発表がほぼピークを迎えましたが、天候不順と人手不足の影響が特に顕著に現われており、どの企業も苦戦のあとが色濃く見られます。

それでも物色の動向は、元の好業績銘柄をストレートに買い進む動きが強まっています。むしろ「米中貿易戦争」で揺さぶられた渦中において、株価を強固に保っていた事実が改めて評価されることになるのかもしれません。

今の相場の御三家は、ソフトバンクG(9984)、ファーストリテイリング(9983)、ソニー(6758)です。

それに続くのが東海カーボン(5301)、昭和電工(4004)、村田製作所(6981)、TDK(6762)です。いずれも景気動向に敏感な銘柄ですが、動きやすくなっています。

久しぶりに化学セクターに反転の動きが見られ始めたことも朗報です。昭和電工の堅調さが波及効果をもたらしているのでしょうか。日産化学(4021)、石原産業(4028)、旭化成(3407)、JSR(4185)にも幅広く買い物が向かい始めました。

同時にエーザイ(4523)を筆頭に、アステラス製薬(4503)、第一三共(4568)の薬品株も強さを増しています。ディフェンシブ銘柄も一緒になって動くのが現在の相場です。テルモ(4543)、ファンケル(4921)を加えてもよいでしょう。

サイバーエージェント(4751)がいよいよ動き始め、オープンドア(3926)、じげん(3679)、ネクソン(3659)、デジタルアーツ(2326)、TIS(3626)など中小型株も上値志向を見せています。

あとは機械セクターの回復を待つだけです。ここでもすでに大半の銘柄が底入れ反転の動きに向かっている模様ですが、残されたコマツ(6301)、日立建機(6305)、ベアリング各社の値動きということになるでしょうか。

暑さの盛りはこれからが本番ですが、冷静に考えれば昼間の時間は日に日に短くなっているわけで、成夏が来ればあっという間に秋になります。

この秋は日本では自民党総裁選、そして米国の中間選挙があります。ここからの季節は例年なら政治ネタは少なくなりがちですが、今年はそういうわけには行かないでしょう。

以上

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